2024年7月、Chatwork株式会社は、
株式会社kubellへ社名を変更予定です。
  • プレスリリース

【中小企業経営者の残業削減意識に関する調査 第1弾:医療業界】法改正における残業代割増にリスクを感じているのは、経営者の約半数。8割超が残業の実態について把握するも、対策をとっていないことが判明

2024年に向けてタスクシフティングやチーム医療体制の構築が課題

ビジネスチャット「Chatwork」(https://go.chatwork.com/ja/)を提供するChatwork株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役CEO:山本 正喜、以下、Chatwork)は、2023年5月に、医療業界の中小企業経営者に対する「改正労働基準法」施行前後の残業削減に対する意識調査を実施しました。

■ 調査背景
2023年4月1日の改正労働基準法の施行により、中小企業経営者にとって死活問題とも言える「中小企業の残業割増賃金率引き上げ」が行われました。これまで中小企業では猶予されていた、1か月60時間を超えた場合の割増賃金率が、25%から50%へと引き上げられ、経営者は人件費の増加を回避するため、労働生産性をあげることが喫緊の課題となっています。

先の改正労働基準法の施行が経営者や従業員に対して、どのような変化をもたらしたのかを明らかにするため、第一弾として医療業界を焦点にアンケート調査を行いました。

医療業界では、2024年から医師の働き方改革が始まり、さらなる残業抑制が推進されます。これらは事業運営において大きな影響をもたらすことから「2024年問題」と言われています。本調査では迫る「2024年問題」に対しても設問も設けることで、業界内における中長期での影響とそれに対する意識を調査しました。

■ 調査概要
調査名 :中小企業経営者の残業削減意識に関する調査 第1弾:医療業界
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査期間:2023年5月25日~5月30日
調査対象:医療機関を経営する、経営者、役員
回答総数:202名
調査主体:Chatwork株式会社
※本調査をご使用になる際は、
『Chatwork株式会社「2023年中小企業経営者調査第1弾(医療業界)」』と明記ください。

■ 調査サマリー
・2023年4月からの残業代割増賃金(法定割増賃金率)引き上げについて、医療業界経営者の認知は低く、関心の低さも垣間見える
・法定割増賃金率の引き上げに経営リスクを感じている経営者は約半数
・法改正後も、ほとんどの経営者はスタッフ・職員の残業時間への影響を感じていない
・残業時間削減ができた場合においては、30分~1時間程度の削減ができている一方で
 文書作成業務などの、デスクワークにおいて残務が発生していることがうかがえる
・残業時間やその内容について把握できている経営者は、8割超
 また、残業の理由は"人手不足"や"慢性的な業務過多"と考えている
・残業時間削減のための取り組みは後回しになっていることがうかがえる医療業界において、
 特にコミュニケーション効率化やITツールやシステム導入などDXが進んでいないことが推測される
・2024年4月からの「医師の働き方改革」について"実現は難しい"と考える経営者が多い一方で、
 業務分担のタスクシフトや、チーム医療システムの構築などには取り組みたい意向もみられる

【中小企業経営者の残業削減意識に関する調査 第1弾:医療業界】

◾️ 2023年4月からの残業代割増賃金(法定割増賃金率)引上げについて、医療業界経営者の認知は低く、関心の低さも垣間見える

『2023年4月から「改正労働基準法」が施行され、中小企業においても月に60時間を超える時間外労働に対する「法定割増賃金率が50%以上」に引き上げられたことを知っているか』をたずねたところ、「知っている」と答えた人が最も多く44.1%となりました。「聞いたことはあるがあまり知らない」と「知らない」と答えた人を合わせると半数を超える54.5%となっています。
医療業界では、今回の法改正はまだまだ浸透していないことがうかがえます。

202306_グラフ1.jpg
また、『今回の法改正について管理者/経営者としてどう感じているか』をたずねたところ、「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」と答えた人は合わせて42.4%となり、「良くないと思う」「あまり良くないと思う」という回答(あわせて20.3%)を上回るかたちとなりました。
一方で、「どちらでもない」という回答も3割程度を占めており、前問とあわせて医療業界での認知度や関心の低さも垣間見える結果となりました。

202306_グラフ2.jpg

■ 法定割増賃金率の引き上げに、経営リスクを感じている経営者は約半数

『今回の法改正(改正労働基準法)にかかる法定割増賃金率の引き上げに経営リスクを感じるか』をたずねたところ、「かなり感じている」「感じている」との回答は、あわせて46%となり、半数近い経営者がリスクと捉えていることがわかりました。
法改正の認知や関心を持っている割合(44.1%)と比較して同等の割合であることから、法改正の認知がある経営者は、割増賃金率の引き上げに対する危機感も持っていることが伺えました。

20230603_グラフ3.jpg

『スタッフ・職員の残業時間削減のために、2023年4月以降対策を講じているか』を聞くと、約半数の51%が「対策している」「少し対策している」と回答しました。
ほぼ同数の48%は「対策していない」と回答しています。

202306_グラフ4.jpg

■ 法改正後も、ほとんどの経営者はスタッフ・職員の残業時間への影響を感じていない

『今回の法改正(改正労働基準法)のかかる法定割増賃金率の引き上げの施行後、スタッフ・職員の残業時間に影響はあったか』をたずねたところ、「残業時間が減った」(10.9%)「残業時間が増えた」(5.9%)を大きく上回り、80.2%もの経営者は「変わらない」と答えました。
法改正の認知も低かったこともあり、対策をとる経営者が少ないことがうかがえました。

202306_グラフ5正.jpg

◾️ 平均残業時間削減ができた場合においては、30分~1時間程度の削減に
一方で文書作成業務などのデスクワークでは、処理しきれない残務が発生

今回の法改正後に「残業時間が減った」と答えた人(全体の10.9%)に、『今回の法改正(改正労働基準法)施行後、スタッフ・職員一人当たりの平均残業時間がどれぐらい削減されたか』をたずねたところ、「30分~1時間」という回答が最も多くなりました。
さらに『スタッフ・職員が1週間の中でやるべき業務が負えられていないと感じる場面があったか』については、「かなりあった」「ややあった」があわせて68.2%となりました。その影響としては、約半数(54.5%)で残務が発生しており、業務にしわ寄せが出ている様子がうかがえます。

202306_グラフ6.jpg

202306_グラフ7.jpg

◾️ 残業時間やその内容について把握できている経営者は、8割超。残業の理由は"人手不足"や"慢性的な業務過多"と考えている

『スタッフ・職員1人当たりの残業時間や残業中の業務内容について把握できているか』をたずねたところ、8割を超える経営者が「できている」(42.1%)「ほぼできている」(41.6%)と答えました。

202306_グラフ8.jpg


また、『スタッフ・職員の残業の理由はどんなものだと考えているか』を聞くと、「人手不足」が最多となり(37.1%)次いで、「慢性的な業務過多」(26.7%)、「患者様からの要望に応えるため」(22.8%)となりました。

202306_グラフ9.jpg

◾️ 残業時間削減のための取り組みは「特に取り組んでいない」が25.2%で最多
コミュニケーションの効率化や、ITツールやシステム導入などのDXも進んでいない様子がうかがえる

『スタッフ・職員1人あたりの残業時間を減らすため、どのような取り組みを検討、実行しているか』については、「特に取り組んでいない」という回答が25.2%と最も多く、残業時間削減については取り組みが後回しになっている様子もうかがえました。
なかでも、ビジネスチャットなどを活用した情報連携や、その他のITツール・システムの導入についても低い数字となっています。

202306_グラフ10 (1).jpg

『残業時間の課題解決のために導入したいビジネスツール』については特にないが半数を締め(50.0%)、それぞれのツールにあまり大きな差は出ませんでした。

202306_グラフ11.jpg

◾️ 2024年4月からの「医師の働き方改革」について"実現は難しい"と考える経営者が多い一方で、業務分担のタスクシフトや、チーム医療システムの構築には取り組みたい意向も

医療業界では2024年4月より、「勤務医の時間外労働の年間上限は原則960時間とする」、「連続勤務時間制限、長時間勤務医師の面接指導などで、勤務医の健康確保を目指す」など、医師の労働時間に関する取り決めを中心として、医師の働き方の適正化に向けた取り組みが実行される予定です。

これについてたずねたところ、「実現できる」(9.9%)「やり方によっては実現できる」(28.2%)という回答があった一方で、「医療業界では実現は難しい」という回答が最も多い43.3%となりました。

202306_グラフ12.jpg

2024年の「医師の働き方改革」を前に取り組みたい施策については、「業務分担のタスクシフト」(28.7%)や「チーム医療システム構築」(26.7%)など、医師以外も巻き込んだ全体最適な医療を目指している経営者が多いことがうかがえました。

202306_グラフ13 (1).jpg



ページ上部へ戻る